8日間に及ぶシステム設計演習を経て、私たちはその閉会式として田中様に「働くということ」というテーマでお話しを頂いた。今回のシステム設計演習は、それまでCOBOLのプログラミング研修では意識していなかった、「働く」ということの楽しさ、大変さを肌で感じることが出来た演習であった。
そしてその演習を踏まえた上で、田中様の「働くということ」というお話の中で三つ、自分にとって重要であると感じたことがある。一つ目は「信頼の蓄積理論」である。これは、自分の発言が周囲に影響を及ぼすには信頼がなくてはならず、信頼の積み重ねが重要であるという理論だ。二つ目に、「悩みはその事実ではなく物事の捉え方にある」という考え方である。人は自分自身で物事の捉え方を選んでおり、悩みの原因はその事実でなく自分自身にあるという考え方だ。三つ目は、「チャンスの神様は前髪しかない」というお話である。チャンスはすぐ掴む力が必要で、すぐに掴まないともう二度とはやってこないというものだ。
私が田中様のお話の中でこの三つを挙げた理由は、これらを設計演習の時に出来なかったと痛感したからだ。今回の演習で、私は「大勢の中で発表を行う」というチャンスを自ら見逃してしまった。私は元々上がり症であり、研修前に行う3分間スピーチなどでも他の方と違って言葉に詰まることが多く要改善点であると感じていた。しかし、今回の演習ではその発表担当ではなく喋る事のないマシン担当を選んでしまい、結果としてチャンスの神様の前髪をスルーしてしまったのである。
他チームの方で「発表が苦手なので、それを克服するためにあえてスピーカーになった」という感想を聞いて、私はなぜスピーカーという自分を改善するチャンスを掴めなかったのかと改めて強く感じた。
それは、私が無意識に「スピーカーは苦手」という捉え方をしていたのではないかと思う。
自分は苦手だから、上手い人がやる方がチームのためになる。そのような間違った物事の捉え方をしていたのである。
また、私の発言者としての信頼の積み重ねが少なかったことも原因であると感じている。私は演習を通して終始チームの役に立とうとサポートに回っていた。もちろんチームの中での信頼感は保たれていたが、意見をする際にも上手く表現できないことがあり、発言者としての信頼があったかというと疑問が残る。
田中様のお話の中で「自分を客観視できる人は成長する」というものがあった。今回の田中様の講演で私は自分自身の弱さに気がつくことが出来た。それはチャンスを見逃してしまう意志の弱さであり、チャレンジを諦める向上心の弱さであった。当時はチャンスだとも気づいていなかったが、しかしチャンスを逃したのは偶然ではなく自分の捉え方や信頼性などある意味必然だったと感じている。これから配属も決まり、自分にも様々なチャンスが巡ってくるはずである。それを偶然掴むのではなく、日々向上心を持ち、必然にしなければいけない。私はそのために本を読み、学び続け、進化し続ける人を目指していこうと考えている。

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